ゆきどけ絵日記

50代の雑談

自分を作る記憶

こんにちはこーりです 読んだ本の感想です

記憶喪失になったぼくが見た世界 坪倉優介

大阪芸術大学芸術学部卒で草木染め作家の著者が

大学生の時にスクーターでの交通事故で記憶喪失になり

そこからの生活の話です

 

記憶を失うと言う事

家族のことも

身近な物や事

例えば

目の前の時計が何のためにあるのか

なんという名前なのかも忘れてしまいます

記憶を失ってしまうと言う事はかなり心細くもあり不安であり

孤独を感じるものであると思います

 

想像しようと思いましたが

本当の意味での辛さは

体験したものでないとわからない気がします

 

現在染色作家として活躍されているようです

ご本人の努力もありますが

ご両親の労を惜しまぬサポートや

見守るべきところは口をださずに

辛抱して見守る

そんな環境もあって

ここまで来れたのではないかと思います

 

わかってもらえない不運な出来事

大学の専攻科に進学するにあたり

その面接で先生に

事故の事ばかりを言い訳にするな!

と言われてしまいます

 

不運な出来事が起きた時

はじめのうちは

周囲の人は同情してくれたり

話を聞いてくれたりしますが

何度も何年も繰り返すうちに

もういい加減にしたら

と言う態度をとったり

とられたりと言う事は

そこかしこで起きていることだと思います

 

自分は他の人と違ってとても大変なので

特別扱いしてほしいと思ったり

逆に特別扱いなんかされたくないと思ったりの間で

葛藤してしまうような気がします

 

しかし著者は自分が一番

自分のことを差別していたのではないかと

思い至ります

 

後にこの先生は著書のことを

厳しくもあるが

見守ってくれている人だということがわかります

そんな先生の言葉だからこそ

あの厳しい言葉も響いたのだと思います

 

結局のところ体験した本人にしか

実際の辛さはわからないです

その後どうやって生きていくのかは

本人が決めるしかないのだなと思いました

 

事故から十二年後の著者は

事故から前の記憶が戻ることが怖いと言っています

 

事故後の十ニ年間に

失くしたくない大切なものがいっぱい増えて、

新しくできた過去が愛おしい

そのような言葉の後に

ぼくは今、この十二年間に手に入れた、

あたらしい過去に励まされて生きている

過去の自分に励まされると言うのは

いいなと思いました

そんな過去を作りたいです

 

辛い記憶をどうするか

私は自分の無力感や不安感を呼び起こすような

忘れた方が良いのではないかと思う記憶があります

そんな記憶はある人も多いかと思います

 

この本の最後には

事故を乗り越えたことを

象徴するような

 

父親がバイクのコースに連れて行き

バイクに乗るシーンがあります

 

理想を言えば無理矢理忘れるよりも

乗り越えた方が良いのだなと思います

逆に頑張って忘れようとすると

逆に頭にこびりつきがちです

 

この本を読むと

記憶と言うのは自分の大部分であると感じます

 

お母様の言葉に記憶を失くすというのは

単に過去を忘れて今を生きると言うことではない

過去を失った人間は 

こんなに脆いものかとありました

自分自身が

ほとんどなくなってしまったような

感覚なのだろうかと思いました

 

辛いこともあったけれどやって良かったと思う記憶もあれば

早々に見切りをつければよかった

無駄なガマンだったなと思う記憶もあり

結局は自分の納得感なのかとも思いました

 

最後までお読みいただきありがとうございました

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暗記パン思い出した

 

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